吹奏楽部の恋愛事情



いつもの場所、


音楽準備室の前まできた。


どうしてここが分かったかというと、


愛羅と春貴がよく二人だけで入っていくのを見かけていたのだ・・・


ここで何をしているのかは聞いたことはなかったが、


なんだかとても入りにくかった。


だが、ここで逃げてしまったら、


なんの解決にもならないと思い、


一つ深呼吸をしてからガラッと扉を開けた。


中を見ると一見誰もいないように見えたが、


奥の一角に二人の人影が見えた・・・


その一角に近づき覗いてみると、


愛羅と春貴が抱きついている姿が見えた。


俺は一旦思考が止まり、


その場で固まってしまっていた・・・


「えっ、ちょ、悠人!?」


愛羅が俺に気づいたらしく、


目をキョロキョロさせながら、


激しく動揺していた。


春貴もこちらに気づいたらしいが、


特に動揺もせず、


静かに見守っていた・・・


「な、んで・・・


なんで二人が抱き合ってんだよ!?」


さっき桃華から聞いてはいたのだが、


直接間近で見てしまったら、


やっぱり取り乱してしまった・・・


「いや、これは・・・その・・・」


どう説明していいかわからないのか、


上手く話が出来ていなかった。


春貴は春貴で一向に口を開こうとしなかった・・・


そんな姿を見て、


俺のイラつきはMAXになり、


グイッと愛羅の腕を掴み、


その場の壁に貼り付けた。


「なに、もう本気で俺はいらないの?


春貴と付き合うわけ?


なぁ、どうなんだよ!?」


もう自分で自分が止められず、


根本的に考えて俺が悪いのに、


つい愛羅に苛立ちをぶつけてしまった・・・


すると、


愛羅の瞳から涙がこぼれ落ち、


ドンッと俺を突き飛ばして、


どこかに走っていってしまった。