第一章 傷跡







今日は4月7日
きっと日本のいろいろな所が新しい時を迎えている

入学 進学 別れ―――

今日は4月7日
私、「天野佳織」の15歳の誕生日

今日は4月7日
お母さんの命日。


お母さんが死んだのは10年前


私の家族は お父さん、お母さん、私の三人家族だった。
でも普通の暖かい家族とは違った。

私の家では家庭内暴力がおきていた。

10年も前の出来事だから、あまり詳しくは覚えていないけど
お母さんが死んだときのことは鮮明に覚えている。

お父さんはいくつも会社を辞めさせられて、荒れていて
そのストレスを暴力に変えて私とお母さんがいつも暴力を受けていた。


その日は、私の誕生日でお母さんは自分の娘の生まれた日をちっとも祝わないそれどころか・・・暴力を振る舞い酒乱と化している父親に強く怒った。

それが父親の癇に障り、凄まじい暴力を振ってきた。
お母さんがぼろぼろになり、ピクピクと小刻みにしか動かなくなったことを確認すると
今度はその怒りの矛先を私に向けてきた。
さすがに、殺すのはまずいとおもったんだろう。

当然、5歳の子供が大人男性に本気で殴られれば何発かで死ぬに決まっている。
でも、私は お母さんに守られた。
お母さんが最後の力を振り絞って守ってくれた。
自分の体を盾にして。

父親はその事に更に腹を立てて何発か殴ってきた。
それから少しして私は おかしいとおもった

お母さんの私を抱きしめている力がなくなっている。
父親もそれに気付いて、いったん暴力をやめて来た。

でも遅かった。





4月7日
お母さんは死んだ。

父親は死んでしまった事を確認すると家に有るだけの金と通帳を持って行き、家から出て行った。









そして 私は一人になってしまった。