少しだけ湿った自分の手首が妙に色っぽく見える…。
……不思議。
「…したら、反対側の手首にも擦り付けるように広げる。まーるく、円を書くようにね」
「こ…こう?」
カケちゃんの言われた通りに手首同士を擦り付けると、
甘酸っぱい香りがフワッと鼻の奥に漂った。
「わ……いい香り…」
「…だろ?」
なんていうのかな…
さっきカケちゃんから漂った甘い匂いとは全然違う、
少しくせのある柑橘系の香りが 。
うん……好き。
匂いを感じれば感じるほど癖になる。
はじめは尖った感じがするものの、徐々に身体の中に溶け込んで和らいでいくような香りだ。



