コーナーを抜けて、最後の一直線。ラスト50メートル。
西に傾く太陽が、まるでスポットライトのように、カケちゃんと1位走者を照らし出しているようだった。
「翔ーっ……!!!」
メガホンを両手で支えながら、かすれ気味の声でそう叫ぶ。
カケちゃんの速度が一気に加速したのは、まさにその瞬間。
1位走者がテープを切ろうする直前、
「「よっしゃーーーー!!!」」
カケちゃんは、抜いたんだ。
ほんとに……?ほんとに、1位……?
ゴールテープの先で、膝に手をついたままの彼を見たのと同時に、
感極まって、涙がブワッと溢れだしてしまった。
かっこ、よすぎるでしょ……カケちゃん。



