隣を見ると、カケちゃんの視線はまるで私には向いていない。
テキストに一直線だ。
そ、そっか……一生懸命、考えてるんだよね。
もう、なに1人で浮かれてんのさぁ……恥ずかしー……。
顔が熱くなるのを感じながら、私は近距離にいるカケちゃんに解説を始めた。
「えっとここはね、まず平方完成をして……」
チラチラと彼の真剣な表情に視線を落としながら、とりあえず任務を果たした私。
「んー、なんとなく分かった。サンキュ」
カケちゃんはそう言いながら、今度は頭の上に手をポンポンと置いてきた。
「うっ……」
照れを奥に閉じ込めるように、唇をかみしめる。
いまではもう、カケちゃんは問題を解くのに夢中。
なのに、私の身体にはさっきまでの体温の残像が、妙に蘇ってくるんだ。
「えーっとここはXでくくって……」
そして、1人でなにかを呟きながら懸命に解いている彼の姿を、私の視線は捉えていた。



