「あー……いや、いいです。俺1人で片付けるんで」



添えられた手を、俺は丁寧に払いのけた。



「えーなんで?私、雛水くんと同じクラスだから、すぐに呼んであげれるよー?」


グイッとまたもや近寄ってくる彼女。

俺だって男なわけだし、言い寄られるのは嫌じゃない。


だけどさ……



「呼んでくれんのは嬉しいなぁ。けど、ノーサンキューってことで。すんません」


「なにそれー、そんなに私とデートしたくないわけー?」


「うーん……まぁ、そうかも」


「な……っ!」



俺にはどうしても、手放せない子がいるからさ。

どんなに綺麗だろうと、可愛かろうと、色気があろうと……誰にも越せない、たった1人の女の子が。



それに、彼女も俺の事を好きだと言ってくれた。


加えてあのキスのあとの台詞……。




―――『あーいうキス……また、してね』