「ここ、わかる?」
"形容詞の用法"とタイトルにあるページを、私の方にずらして見せてくれる……
のはいいんだけど……。
「か、カケちゃんちょっと……」
これ以上距離を縮められたら、私の鼓動まで丸聞こえだ、きっと。
「なんでこれ、傍線部の"うつくしから"って形容詞になんの?」
「……カケちゃん?」
いつもなら、「ん?」って尋ね返してくれるカケちゃん。
それなのに、今はなんだかいつもと違う。
「ほら、だって形容詞って"し"で終わるんじゃないの?」
スッ……。
また、距離がぐんと縮まる。
カケちゃんの右手は右隣にいる私の真後ろにあって、それを床について位置を調整しているみたいだけど、
そのおかげで私の肩にはカケちゃんの首筋が触れている状態。
ドキドキなんて言葉じゃ足りないくらい、私の心臓は大暴れしていた。



