せっかく話をすり替えようと思ったのに、
私のセリフを遮って「しつこいよ?」なんて…。
「一度気になったままだと寝付けないくらい、深刻だから」
「えぇ……」
私と彼との進み具合が彼の関心の対象になること自体が不思議で、
気の利いた返しが思いつかない。
そんな中で先に口を開いたのは彼の方だった。
「もしかして、手も握ったことない…とか?」
「そ…それは……」
「え、ほんとにまだ?」
わわっ……
言葉を流す私に驚いた彼の顔が近づいて、思わず体勢を後ろに仰け反る。
「ま…まだっていうか…」
そう…まだっていうか……



