「一途なフリしておいて……卑しい女だ。それとその男も、お前以上に卑劣な奴だ」
私はどう思われたってもう構わない。
でもなんで……?
「なんで彼の事を……そんな風に言うんですか」
頬を濡らしたまま、私は先輩と視線を合わせた。
カケちゃんは、先輩と私の恋を本当に応援してくれてたのに。
卑劣だなんてそんな言葉、カケちゃんに向けていい言葉じゃない。
「彼は……優しくて、いつも笑ってて、ときにはからかって笑わせてくれる。
本当……私なんかには勿体無いくらい、素敵な人なんです」
だから、そんなカケちゃんが私のことを好きだと言ってくれたこと、
今でもちょっと信じられないんだ。
だけど出来れば、私も彼に見合う女の子になりたい。
「だから……彼のことを悪く言うのは、やめてください」
その瞬間、歪んだ視界の中で先輩の顔がひきつっていくのが分かった。



