「おい、聞いてんの?」
ドスのきいた声が真正面から届く。
ありゃ。
すっかり回想に浸ってたな、俺。
「ごめん、聞いてなかった。もっかいお願いします」
ペロッと舌をちょっと出して目の前で手を合わせると、
光波は盛大なため息をついて言った。
「これからどうすんの、って言ったんだよ。告んの?」
腕を組んで上から目線でね。
「あー、いや。俺もう告ったよ?」
「……は?」
「あんね、合宿のとき。たしか……非常階段的なところで」
「はぁぁぁぁ⁉︎」
バンッと目の前のテーブルを叩いて、だいぶ興奮した様子の光波。
おいコラ、グラスから飲みもんこぼれんだろ。
「なに?許可とか必要だった?」
「……違うけど」
「そんなビックリする?俺が好きなの知ってたんだろ?」
「てっきり千紘が別れてからするのかと思ってたから」
俺がそこまで出来た人間だと思ってたのかい、この子は。



