「……ちょ、ヒロチー……?」
なにがなんだかわからない。
そう言いたげな彼の声が、密着する身体の奥から届いた。
「ごめ……なんか、なんか、モサモサって……シュルッて私の足のところ」
「モサモサ?」
「お、お化け……!」
震えた声で、途切れ途切れに繋いでいく言葉。
テンパりすぎ……。
何言ってるの?私。
「なるほど……わかったよ、怖かったのか」
「……ん、ん」
まだ彼の背中に手を回したまま、目をつむって、精一杯頷いた。
「……じゃあ、とりあえず離れよ。な?」
優しく心地よい声。
だけどそんなのじゃ、全然足りなかった。
「やだ……怖い」
駄々をこねる子供みたいに、細くも凛々しいカケちゃんの身体にしがみついた。



