これは完全に、もうカケちゃんのペースに流されてるよね……。
余裕のある彼を横目に映して、バレないように小さくため息をついた。
こんなんじゃ、心臓いくつあっても足りないよ。
「あ、コレだな。黒い矢印の看板」
「ん?ほんとだ」
彼の方向音痴を発揮したせいか少し時間がかかってしまったけれど、
数分歩いたところで、私たちを惑わせた看板の前にようやくたどり着いた。
カケちゃんに照らされたその看板には、黒い矢印の上に
『温泉』
と小さな文字で書かれていた。
「なんだ、フェイクじゃなかったのか。まぁ……とりあえずこの先も来た道戻ろ」
「そうだね」
そうしてその看板を確認した後で、私たちはまた足を踏み出した。
それにしても、こんなところに温泉地があるなんて……。
いいなぁ、温泉。
前に行ったのいつだっけ?
随分前だった気が……確か、中学1年とかそのくらい?



