暗闇の中で、ぬくもりが身体中に伝わる。
その瞬間、私の上の方から小さなため息が聞こえた。
背の高い、カケちゃんのため息だ。
「なんつーか……ほんと、ヒロチーにはかなわないな、俺」
「……え?」
「ちょっとカッコつけたかったけど……そうゆうの無しにするわ。
俺のカッコ悪いとこも、見て欲しいって……たったいま、そう思っちゃったから」
彼の握る懐中電灯は木々の方を向いているけれど、
そこから放たれる光は彼の照れ笑いをも、ほんのりと写しだした。
なんて、言うのかな。
この、胸がくすぐられる感覚。
カケちゃんのこんな表情、私初めて見る。
なんだか……息がしにくいよ。
「まぁ……ご要望にお答えして、手は最後まで握って差し上げますので、その点はご安心を」
「なっ……」
私がモヤモヤと考えているうちに余裕が出てきたのか、そんなことを言い出すカケちゃん。
ほんとに、油断も隙もない男の子だ。



