"キス"という単語は濁したものの、

こうして言葉にするとあのときの空気感とか、臨場感を鮮明に思い出してしまう。


例えば、カケちゃんの唇の感触とか……。




『なるほど、へぇ。じゃあ俺は間違ってねぇな』



「なに、なんのこと?」



『いや、こっちの話』




光波も、カケちゃんも……何を考えてるのか、

私には全然わからない。




「あのね、光波」


『なんだよ』


「ちょっと変な質問なんだけど……いい?」


『うん』


「彼氏がいる女子に……キスとかって、簡単にできるもの?

とゆうか……光波なら、する?」




我ながらすごく恥ずかしい質問をしてるってことは、重々承知している。




だけど、どうしても知りたかった。




『それって、自分の状況重ねてんの?』



「そ、そうだよ!てゆーか答えてよ!」


もうこの際、開き直りだ。


『……わかんねぇけど、無理やりはしないんじゃない?ましてや翔だし、尚更』




その言葉を聞いて、思わず頷いてしまった。