そりゃあ、元カノくらいはいるだろうけど…。
なんせこのモテようだし"年中無休で恋人います"って顔してるから、
私にとっては不思議で仕方がない。
まぁ、本命の恋人はいなくても"遊ぶ"女の子はたくさんいるらしい。
「ヒロチーなに固まってんの?」
「うぅぁ?!?!」
上履きを持ったままボーッとそんなことを考えていると、
目の前にカケちゃんの顔が。
「ちちち近いよ!」
「あー、えー?そぉ?」
「そーだよ!」
頬を少し膨らませて上履きを乱雑に履くと、
カケちゃんは私の顔を覗いたまま笑い出した。
もう。
あなたと違って私は男の子慣れなんてしてないの!
私はクスクスとお腹を抑えるカケちゃんに向かって、心の内でそう叫んだ。



