それにしても、あのときは散々だったなぁ。
結局私だけ最後まで耐えられなくなって、途中で映画館の外に出させてもらったんだ。
そういえばカケちゃん、私が半泣きで外にでたところ見てたって言ってたな……。
でも今回だけは、投げやりにすることはできない。
映画終わったあとに先輩とストーリー思い返して盛り上がるんだから。
名誉挽回のチャンスはここにしかない。
ちゃんと観なくちゃ……。
半分恐怖で閉じていた瞼をゆっくりと持ち上げていく。
「……っ!」
その瞬間、不気味な雰囲気を醸し出す俳優さんとスクリーン越しに目があってしまって、
今度は肩を大きくビクつかせた。



