【完】彼を振り向かせる方法



やっぱり無理矢理はアウトだった……?

カケちゃんが記した「ちょっとだけ」という言葉の真意がいま、わかった気がする。

頑張ろうと張り切りすぎると空回りするのか、私って。


……でももう、終わったことを嘆く意味はない。


屈しない。屈しない。



ちゃんと楽しんで成功させなきゃ、カケちゃんに合わす顔なくなっちゃうじゃん。


ネガティヴループにはまりそうだった自分を奮い立たせて、私は再び彼に視線を向けた。



「ねぇ!雛水先輩はなに食べたい?」



前に並んでいる人が振り向くくらい大きな声でそう言った。



そうでもしないと、ケータイから目線外してくれないでしょ?



「んー……なんでもいーわ」


……ダメだ。

先輩、全然こっち見てない。


ケータイに気を取られたまま、適当に返事をしていただけ。




「でも、早く決めないともうすぐ順番きちゃうよ?!」


「……うるさい」


「……え?」


「そんな声張る必要ないだろ。他の人に迷惑」


「……っ」



どうしよう……鼻がツンとしてくる。