【完】彼を振り向かせる方法





____…。




とりあえず、ハンバーガーショップまで引っ張ってきたけど…。



「……俺、まだ腹減ってない」


「あ、はは……」


片方の頰だけ持ち上げた表情で、ご立腹な様子の先輩。



「これから空きますよ!だから並びましょう、先輩」


「……わかったよ」



うわぁ……明らかに声低いし、本気で怒らせちゃったかも……。



そりゃあそうだ、至福の時間を中断してしまったのだから。

いや……いまはデートだし、少しくらいわがまま聞いてくれてもいいような……。

と、両極に混在する不安定な思いを抱えつつ、私と先輩はお店の最後尾に並んだ。



「なににしよーかなぁ……」


「……」


「やっぱここは無難にテリヤキバーガーかなー」


「……」


「あ、でもベーコンエッグもおいしそう!迷っちゃうなぁ〜」


「……」



……って、私ひとりでしゃべってるし……。


先輩を横目で見ると、ケータイをカチカチといじって誰かとメールしているようだった。