【完】彼を振り向かせる方法






「……」


本に夢中でいらっしゃる。


ここはもう、強行手段で……。



「先輩、私お腹空きすぎて死にそうなのでハンバーガーでも食べに行きましょう」


自分でもビックリするくらい早口で言い終えて、先輩の腕をつかんだ。



「すみません。本、置いて行きますね」


「は?あ、おいっ」



無理やり先輩の手から本を取り上げてもとの場所に戻してから、強引に彼の腕を引いた。





「……千紘?」



明らかにいつもとは違う私の様子に、先輩は首をかしげた。


そんなの、お構いなしなんだから……!



私はグイグイと彼を連れて、ショッピングセンター内を早歩きで動き回った。