「君が萌ちゃんかあ!可愛いねえ〜」 高級感溢れる黒の皮のソファに座る、40代くらいの男性が、優しい笑みを浮かべて口を開いた。 今、私がいるのは学園長室。 「あはは、どーも…」 きっとこの人が父親の友達だという学園長だろう。 作り笑いをする私は、頭の中であの美少年のことを考えていた。 「また会えるのを、楽しみにしてるよ」 別れの時に確かに言ったその言葉と、屈託のない笑顔。 私は彼のことが気になってしょうがなかった。