そんな私を他所に、彼の顔は近づくばかりで、咄嗟に目をぎゅっと強く閉じてしまった。 う…そ……? キス、される…? 「君、泣いてた…?」 「へ…?」 唇まで数センチの所で止まった彼の顔。 そんな彼の口から出た言葉は、私にはとうてい予測出来なかった言葉であり、またもや間抜けな声が零れる。 「…涙の跡がある。」 「…っ‼⁉」 次はなんなの‼⁉ 頬を包んでいた彼の手は、私の目に残っていたらしい、涙の跡を優しくなぞる。