あーあ。またやっちゃった。

あたしはきっと彼に嫌われてる。
だって、彼を見ていると自分が自分じゃないみたい。

今だって、もっと自然に目をずらせばよかったのに、彼のまえだと緊張してそんな簡単なことすらできない。

彼はきっとそんなあたしを「ヤな感じの女」として見ているだろう。

君と普通に話してみたい。
聞きたいことがたくさんある。

だってあたしは君のことを何も知らないんだもん。

好きな食べ物。好きな色。好きな音楽。

知りたいよ。どんな小さなことだって。些細なことだって。どうでもいいことだって。

知りたい。聞いてみたい。


ーでも、無理。
だって、あたしには君を斜め後ろのこの席から見つめることだけで精一杯だから。