「!! 誰…!?」
呆気に取られているとティトが私の存在に気付く
『あの…』
おずおずと顔を出した私にティトは青ざめる
「君は…!!」
『えっと…』
ティトは階段から立ち上がり私の方へと近付いて来る
その表情は先程の穏やかなティトとは別人だった…。
距離を詰められティトは私を壁に押さえつけ、私を逃がさない様に両肩の上に手を置く
「この事は黙ってて」
『この事って…?』
「僕が別人の様になったって事、誰にも言わないで」
怖い表情とは裏腹に彼の目は何かに怯えてる様でもあった
『…私は“何も見てない”よ。ティトを見かけただけ……』
「……は?」
『さっきの穏やかなティトも今のティトも同じティト、でしょ?なら私は“ティトを見ただけ”で他は見てないよ』
私がそう言うとティトは少し笑ってありがとう、と言って手をどけて去って行った

