「たまには甘えろよ。」
爽太はフッと微笑み、
「お前が重いことくらい知ってるから」
と付けたされた。
「っ!失礼な。
では、乗らせていただきます。」
私は爽太に甘え
おんぶをしてもらい、
保健室に向かった。
広い背中に
私よりも30㎝高い身長。
爽太と同じ目線で見る景色は
私がいつも眺めているものとは
比べものにならないくらい
キラキラと輝いていて
手を伸ばせば太陽に届くんじゃないかって…
爽太の香水と混ざり合う汗の匂いが
鼻にあたって、
くすぐったい感情が芽生える。
爽太と知り合ってから3年以上経つ。
どんどん大きくなって
今、私の目の前にいる爽太は
爽太じゃないように感じる。
近いのに遠い存在
「ホントお前見てられないわ。」
悲しいことを考えている私の思考を
遮った爽太の一言。
爽太は呆れたようにつぶやきながらも
クスクスと笑っている。
いつもの爽太だ…
爽太に突き放された日から
ずっと避け続けていたけど、
やっと元に戻れるんじゃないかって
実感がわく。
