気まぐれ王子とサル女




アンカーはグランドを1周走る。
爽太は、どんどん人を抜いていった。



私たちクラスはもちろんのこと
観客の誰もが爽太の姿に
釘づけにされていた。



風になびいた髪に
部活で焼けた小麦肌。

汗の流れが
日光により輝き、
まっすぐにゴールを見つめるその姿は
私が大好きな水嶋爽太そのものだった。



残り30mと言うところで
1位のアンカーと並んだ爽太。



声援はより一層増していく。

だけど私には
その声援は何一つ入ってこない。

ただただ爽太を見つめ、
祈ることしかできない私。




ゴールぎりぎりまで
勝敗は分からなかった。



ゴールテープを先に切ったのは
爽太だった!



1歩差というほどの
接戦であった。



まただ…

また助けてもらちゃった。

元はといえば
私が悪いのに、
いつも助けてくれる。