気まぐれ王子とサル女





私は再び陽葵の名前を呼ぶと
続けてこう言った。


「怖かったけど
陽葵が来てくれて良かった。
私、陽葵が来てくれなかったら今頃...」



そう言うと陽葵は

「そんな顔すんなよっ。
可愛い顔が台無しだぞ!」

と笑いながら言った。



いつもの陽葵だ。



さっきの怖い陽葵の面影は
幻だったかのように
跡形もなく消えていた。



「陽葵、さっきの話なんだけど...」