気まぐれ王子とサル女




顔をあげると、
そこには陽葵の姿があった。



先輩が陽葵の方に振り向いた瞬間、
空いた壁と腕の隙間から
私は抜け出し
陽葵の胸へと飛び込んだ。



「陽葵っ!」



陽葵は私を抱きとめると


今までに聞いたことのないような
低い声で、

「いくら先輩でも七海を泣かせるなら
容赦しません。」

と先輩に向かって怒鳴った。



すると先輩は
「お前には関係ねえだろ」と
イラつきながら言い、
足元にあったゴミを蹴り飛ばした。



すると陽葵は

「関係なくないですよ。
だって俺も...七海のこと好きですから」

と先輩に向かって叫んだ。


その後、先輩は
「バカじゃねえの」と言い
走り去ってしまった。