佐伯君は、金網の傍に居た私の横に来て並ぶ。 少しだけ子供みたいにいたずらな表情と、でも優しさを滲ませた彼の瞳は暖かい色をしている。 佐伯君は、金網に寄りかかりながら寒そうに両手をズボンのポケットにしまった。 「宿題」 「え……?」 脈絡のない会話。 「明日、数学の宿題が出てるだろ? 俺にもノート見せてよ」 何よ急に。 明日まで時間あるんだから、今日帰ってからやったらいいのに……。 私は、そんな不満を胸に押し込める。 そして、いつものように返事をした。 「いいよ」