がががーーーー
  ぴーーーーッ


「…ん。」

変な機械音で目が覚めた。
しかし、目が覚めると目の前には青い空。

ここは、飛行機の中らしい。

「おいおいおい!何が、どうなってんだ!!?」



ガガガガッぴーーー

『おい、大丈夫か!?ciel(シエル)。今、3分くらい通信が途切れたが…無事か??』

「ええ。体のほうは大丈夫です。問題ありません。ただ…」

『ただ…なんだ??』

「ええ、その、空白の3分間の間に僕の記憶が欠落しているのです。」

そういうと、通信機の中の人は黙り込んでしまった。

『そういうことか。まぁ、悪いがそれは想定内だ。とりあえず、こっちに戻ってきてくれ。場所は…』

「いやいやいや!ちょっとまって下さいよ!!僕、今こうして操縦桿握ってるのだって震えが止まらないんですよ!!?着陸なんて、そんな…」

『大丈夫だ。お前は、記憶のあるときは、ウチのNo.1操縦士だったんだ。何とかなる!それに、体が覚えていると思うぞ。』

そういって、通信機の中の人は、着陸する場所を指定した。

ここからそう遠くないのが、せめてもの救いだった。


―――でも、不思議だ。

記憶をなくして気が動転していると思いきや、案外そうではないし、逆に落ち着いている。


しかも、空を飛んでいるからか、清々しい。



記憶をなくして初の飛行なのに、何も覚えていないくせに…。

何も怖くない。


俺、どうしちゃったんだろう。

空白の3分間に、一体何が…