「………。」



「………。」



とはいっても、今は営業中であってこのまま黙っている訳にもいかない。



お店の状況としては一人でも多く増えるのは嬉しいことだし、一日でも早く独り立ちしてもらわねば。




「た、田所さん…片瀬です。宜しくお願いします。」




「…はい、お願いします。」




「レジ打ちや接客方法はお客さんが引いてからお伝えします。今は帰られた席の片付けをお願いします。私は店内のどこかに必ず居ますので、何かあったら声をかけて下さいね。」




「はい、了解です。」




では、と田所さんに軽く会釈し、私は厨房へと足を向ける。




「あ、あのっ」



が、方向転換をした私の手を田所さんが掴んだことにより行く手が阻まれる。



その瞬間、急に掴まれたことに対する驚きと、記憶の中にある感情が蘇り心臓が飛び跳ねる。



「…覚えてないですか?俺…「いおちゃーんっ、ドリンクお願い!!」」