先生の恐ろしい発言を食い止めようと閉じた目を開く。





すると、その瞬間を待っていましたといわんばかりの先生と視線がぶつかった。





「……………。」




「―――――っっ」




この瞬間を待ったいたはずなのに、先生は私に何も言わない。





緊張だけが空間を流れていき、息が詰まっていくのが解る。





あぁ、何かこの感じ久しぶりかも。





最近はお互い忙しかったから、こんな風に目を見ることが少なかった気がする…。





「やっとこっち見たな、伊緒。」





「…先生の強引さに負けました。」





「ふはっ、何だそれ。」





「…ふふふっ、今日も私の負けですね。」





「当たり前だろ。俺に勝つのはまだまだ早い。」




緊張はするけど、先生とこうやって笑い合う時間は心地が良い。




暖かくて、ずっとこうしていたいと思える。




「伊緒、今日送ってかなくてもいい?」




「え?あ、先生も忙しいですよね。私なら大丈夫…」




「違う。」




「え……んっっ」




不思議そうな顔をする私に少し苛立ったのか、先生の唇が強引に重なってきた。




「……帰したくないってことなんだけど。」




「―――っっ!!!!!」




「もう返事聞かないからな。」




「ちょ、ま、せっ…!!」




さっきまでの心地良い空間が、先生の手によって違うものへと変わっていく。





あぁ、しばらくの間は先生を怒らすのはやめよう……。