恥ずかしさのあまり顔を伏せる私と先生。




そして、それをニヤニヤしながら見る志帆さんと勇二さん。




ううぅ…この2人、私達の反応みて楽しんでるっ!!





でも、今回は私が悪いから何も言えない。





いや、悪くなくても言い返せるわけじゃないんだけど。





「ふふ、あなた、今日は良い日ね。こんな幸せそうな二人が見れて。」





「あぁ、そうだな。」





「本当にかっちゃんが伊緒ちゃんと付き合ってくれて良かった!!じゃなかったら、私達は伊緒ちゃんに出会えなかったし、お店も続けられてなかったわ。」





「「え……?」」




志帆さんのまさかの発言に、下を向いていた顔を上げる。





さっきとは打って変わり、今度は私が驚いた顔をして志帆さんを見る。





「本当わね、あの夏頃、いつお店を閉めようかどうか2人で悩んでいたの。でも、伊緒ちゃんに会って、働いてくれるようになって、それからはいつ閉めるかなんて終わりのことばかり考えて悩んでいるのがバカらしくなってね。元気なうちは続けて行こうって2人で決めたのよ。だから、あの店を開けられるのも、このアップルパイを作れるのも、実は伊緒ちゃんのお陰なの。ふふ、知らなかったでしょ。」





「…し、らな、かったです……。」





「そりゃそうだな、言ってないんだから。」




「ふふふ、そうね。」





笑い合う2人を見る視界が少しずつ歪んでいく。




あ、どうしよう泣きそう…。




こんな楽しい雰囲気の時に泣きたくないのに、今にも涙が落ちてしまいそう。





「伊緒。」