「ばか伊緒。」





「へ?」





覆いかぶさっていたはずの身体が、一瞬の隙にベッドの上へと移動させられる。





何が起きたか解らないまま視線を正面に戻すと、そこには昨夜のように先生の姿が視界いっぱいに広がっていた。





「わざと朝御飯の話題に変えたのに…お前ってやつは…。」





「…すみません、今伝えなきゃと思って…。」





えへへ、と笑う私のおでこに、先生は華麗なデコピンをくらわせる。





そして、そのままデコピンをした手を顔に持っていき、口元を隠した。





あ、この仕草、先生が照れている時にするやつだ…。





もしかして、私の言葉に少しはドキドキしてくれたのかな?





「先生、好き。」




「……知ってる。」




「大好き。」




「それも知ってる。」





「じゃぁ……」




「あ――っっもううるさい、黙れ。」






珍しく私の言葉に照れが限界に達したのか、先生は私の口を塞ぐようにキスをした。





それからしばらくの間ベッドで過ごし、その後は先生が作ってくれたハムサンドを二人で食べた。