え、急に殴れって言われても…。




私さすがに理由もなく人を殴れませんよ。




「な、殴る理由が解らないんですけど…。」




真剣な先生に対し、戸惑った顔しか向けられない。




そんな私の戸惑いを感じたのか、先生は気まずそうに口を開く。




「ちょっと、これ以上は理性がもたない。」




「え…?」




「このままだと、もう……キスだけじゃ足りなくなると思う…。」




「………………。」




それって…もしかして…。




「だから、早く殴るか逃げるかしてくれ。」




先生の顔を見るだけで、必死に我慢している様子が伝わってくる。




この3年間ずっと待っててくれたのに、こんな時にでも先生は待ってくれるんだね。




「せんせ…。」




でもね、先生。




もう待ってくれなくていいんだよ。




怖い事も、初めてのことも、全部先生と乗り越えていくって決めたの。




だから、私のあげられるもの全部を先生にあげたい。




「先生のもっと近くに行きたいです……。」




「え?」




「もっと先生に近づきたい。先生の温もりが欲しい。キスだけじゃなくて、もっと…もっと、先生のものになりたい…です…。」