先生の言葉に応えるように、ゆっくりと広げられた手の中に入る。




そして、そのまま先生の身体に自分の体重を預けるようにして寄りかかってみた。




「…先生、凄い暖かいですね。」




「まぁさっきまで風呂に入ってたからな。」




先生より先にお風呂に入った私の身体が、先生の熱によってもう一度深く温められていく。





人の体温はやっぱり心地がいいなぁ…。





それとも、これは先生の体温だからこんなに気持ちがいいのかな…?





さっきまで広げられていた手は、今度は何かを包みこむようにして私に触れた。





「なぁ、伊緒さん。」





「ふふっ、何ですか?急に改まって。」





さっきまではあんなに俺様だったのに、今度はすごく申し訳なさそうに話してくる先生が面白い。





学校では特定の人以外の前ではあんまり表情を変えないから、もしその人達が先生のこんな姿みたら凄く驚くんだろうな。





やばい、少し見てみたい気がする。





どうしよう、これは恵那と文化祭にでも乗り込もうかな。





「おい伊緒、今何か良くないこと考えてるだろ。」





「え?いやいやいや、そんなことはないですよ?って、それより先生の方こそ私に言いたいことあるんじゃないですか?」





「あ、あぁ…。」




ん?抱きしめられる力が少しだけ強くなった?





何だろう、この歯切れの悪い感じ…もしかしてあんまり良くない話しなのかな。





今日起きた学校での問題事?





え、それとも別れ話?





いやいやいや、こんな抱きしめ方しといてそれはないだろ、どんだけ鬼畜だよ。






「先生?どうしました?」





「あー…いや、その…キス…」





「え?キス?」





「キス、して欲しいな…って思って…。」