「じゃぁ、お先に失礼します。」
夕方から夜にかけての業務も全て終了し、帰り支度をしてから二人に声をかける。
すると、そんな私の姿を二人は目を丸くして見つめた。
「あれ、今日は翔也は来ないのかい?」
「あらほんとね、いつもお泊りの時は迎えにくるのに。」
先生の家へと歩いて帰ろうとする私を見て、とても不思議そうな顔をする二人。
まぁ、それもそうか。
先生の家から喫茶店までは結構距離があるため、いつも先生に車で迎えにきてもらっているのだから。
でも、今日だけはどうしても歩いて帰りたい。
そして、先生にやってあげたい事がある。
「多分、後二時間後位に来ると思います。」
「え?」
「今日はわざと終わる時間を遅めに伝えておいたんです。」
「えぇ?!」

