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「はぁー…癒されたぁ……。」




「へ?何か言いました?あ、コーヒーどうぞ。熱いですよ。」




「ありがと。いやー、飯食って風呂入るっていうことが自分一人と誰かとやるのとではこうも違いがあるんだなぁと思ってさ。何か今日はいつもの倍は癒された気がする。」




「あははっ、そうなんですか?」




「そうだよ。伊緒も一人暮らししてみたらきっと解る。」




「そうかもしれないですね。あ、私晩御飯の片付けしてるので何かあったら呼んで下さい。」




「あぁ、ありがとな。」




お風呂から出てソファーの上でまったりとしている先生。




私が淹れた珈琲を飲みながら新聞や本を読む姿を見ていると、不思議とそこの空間が学校の教官室に見えてくる。




先生、今も昔と変わらず珈琲ばっかり飲んでいるのかな。




いやでも、教官室の冷蔵庫って意外にオレンジジュースとかココアも入ってるんだよね。




進藤先生あたりが飲み物の種類増やしてそうだし。




…進藤先生、元気かな?




恵那との進展はどうなってるんだろう。




そろそろダブルデートもしたいし、恵那に連絡しなきゃだなぁ。




あ、そういえば…教官室といえば、先生ソファーで寝てたこともあったなぁ。




うーん、あの先生の寝顔は出来れば誰にも見られたくないんだけど、でも先生意外に無防備だし…。




「伊緒。」




「うえ?!…あ、何ですか?」




「…何考えてる?顔が険しいぞ。」




「あ、いやー大したことじゃないです。」




「…ふーん。まぁいいけど。」




私の返しに、こちらへと向けられていた視線が再び本へと戻っていく。




その姿を確認し、私の手も再び晩御飯の片付けへと取り掛かる。




やばい、今完全に気持ちがどっか飛んでたわ。




先生の視線にも全く気付かなかったし…。





「なぁ、伊緒…。」