思い通りに出来なくてショックを受けている私に、先生は優しく微笑む。




うぅ、何その顔…めちゃくちゃ可愛い…。




「それと、今日は伊緒に逢えないと思ってたから、玄関入った時に部屋の明かりがついて晩御飯の良い匂いがした瞬間めちゃくちゃ嬉しかった。さっきまで相当疲れてたはずだったのに、思わずリビングまでダッシュしたんだぞ?はははっ。」




「先生…。」




自分でも単純だなって思うくらい気分が上がっていくのが解る。




失敗してしまったけど、先生がこんなに喜んでくれたならやって良かったな。




「あ、先生。」




「なに?」




「今更遅いとは思うんですけど、お帰りなさい。遅くまでお仕事ご苦労様です。」




「え……。」




「ご飯にしますか?お風呂にしますか?どっちも用意できてますよ。」




「……………。」




先生が喜んでくれたのが私も嬉しくて、先生が帰ってきたら言おうと思っていた言葉を並べていく。




今日は疲れている先生に沢山おもてなしをするって決めたんだ。




だから、今から挽回できるように頑張っていこう。




「なぁ、伊緒…。」




「何ですか?」




「その台詞、一つ足りないだろ?」




「へ?」




「ご飯でも風呂でもなくて、伊緒っていう選択肢はないの?」




「――――――っっっ!!!」