「いやー、たまには敬語使わず話したかったんですよね。なので、この条件を飲んでくれるならいいですよ。」






ニヤッと俺を見て笑う冨田先生は、どことなく自分に似ている気がした。





あ、でもこんな格好いい人と似てるなんて思ったら失礼か。







「条件、喜んでお受けします。お願いします。」






ニヤッとしている冨田先生に軽く頭を下げる。





すると、そんなにしなくてもと言いながら笑う声が聞こえた。





「僕も今日、甲田先生と話せて楽しかったです。家族のことを話す機会もそうそうないですからね、聞いて頂けて嬉しかったですよ。」






「そう言って頂けると嬉しいです。」






「また、ゆっくりと話しましょう。飲みにでも行きましょうか。」






「はいっ!!」





「あ、その時は進藤先生もお呼びしましょうか。彼も僕達と同じ雰囲気がしますし。ね、甲田先生?」







「あははは、進藤先生に話しておきます。」






「お願いします。じゃぁ、そろそろ失礼しますね。」






「はい、呼び止めてしまってすみません。」






俺の言葉を聞いてから軽く会釈をし、車へと乗り込みエンジンをかける。






そして、






「じゃぁ気を付けてな、片瀬さんに宜しく。」






と言い残してから冨田先生は学校を出て行った。






敬語じゃない冨田先生を見るのは新鮮で、その姿を俺だけに見せて貰えたのは信頼されているようでどことなく嬉しくなった。






冨田先生、帰ったら家族とケーキ食べるんだったっけ…。






「いいな……。」






本当なら俺も帰ったら伊緒と晩御飯を食べる予定だったんだけどな…。







冨田先生の家族の話しを聞いたからか、疲れがたまっているのか、何だか無性に伊緒に逢いたい。






でも、疲れているだろうしな…今日はグッと我慢して、明日の夕方にでも喫茶店へ逢いに行くか…。