職員室の電気を消し、鍵をかける。






鍵を閉めた後に改めて時計を見ると、時計の針は21時20分に差し掛かるところだった。






まさかこんなに遅くなるとはな…伊緒に電話しといて良かった。






もし連絡しなかったら、喫茶店で何時間も待っていてもらうことになってたな。






「甲田先生のご自宅はここから遠いんですか?」






薄暗い廊下を歩きだすと、冨田先生の方から話しかけてくれた。






「あー、そうですね…車で1時間位ですかね。冨田先生はご自宅までどれ位なんですか?」






「似たようなもんですね。本当はもう少し近いと嬉しいんですけど。」






冨田先生はそう言って笑いながらもう一度時計をみる。






そういえば、さっき時計見ながら寂しそうな顔をしてたような…。






何か急ぐ用事でもあったのか?






「あの、もしかして今日何か約束事でもあったんですか?」





「え?」






「あ、急にすみません。先ほどから時間を気にされていたので何かあったのかと思いまして…。」







質問をしてからプライベートなことを聞いてしまったことに気づく。






進藤先生に聞くならまだしも、あまり関わりない冨田先生に聞くなんて…やらかしたな。







「ははは、そんなに気にしてましたか?自分では気づかなかったなぁ。」






「…………。」