冨田先生は数学を担当しているベテランの先生で、年齢は40歳くらいだと聞いたことがあるが、見た目はどう見ても30代前半の長身イケメンである。





話し方がとにかく丁寧で、後輩の俺に対しても敬語で話してくれる。





そして、なんといっても優しくて面倒見のいい先生で、生徒や教師関係なく誰からも好かれている先生である。






まぁ男の俺から見ても良い男なんだから、女子生徒からしたらアイドルのような存在だろう。







「甲田先生、宜しければ駐車場までご一緒にどうですか?」






冨田先生のことをずっと見ていると、先生は俺の視線に気が付いたのか、先ほどまでの寂しい顔を消し、俺に微笑みながら話しかけてきた。






「あ、はいっ、お願いします。」






先生からの提案に慌てながらも返事をし、急いで帰り支度をする。







そういえば今まで冨田先生とゆっくり話したことなんてなかったな…。






書類作りとかで何度か一緒に仕事はしてるけど、それ以外に関わったことはなかった気がする。






「じゃぁ、行きましょうか。」






「はい。」






俺の帰り支度が整ったことを確認すると、冨田先生は職員室の扉へと歩き出した。