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「甲田先生、お疲れ様でした。」





「あぁ、冨田先生…お疲れ様です。お互い大変でしたね。」





「ははは、そうですね。まぁ明日は休みですし、今日はもう帰って寝ますよ。」





「そうですね、僕もそうします。」






新学期が始まってから二ヶ月、やっと落ち着いてきたと思った時に起きた一つのアクシデント。





それは高校生ならよくある男子高校生同士の喧嘩で、今回は中々生徒同士の気持ちが落ち着かず、その場を収めるのだけでも時間がかかった。






その場を収めた後も大変で、生徒の話しをそれぞれから聞き、説教をし、話し合いをさせ、となんやかんや時間がかかった。






そして、生徒達を帰してからは喧嘩の詳細を書類にまとめるのに大分時間がとられてしまい、全部が終了したのは21時を少し過ぎた頃だった。






「もう21時か…帰ったら22時過ぎるな…。」





時計をみながら小さくそう呟いた冨田先生の表情は、少しだけ寂しそうに見える。






喧嘩をした生徒の一人は俺が担任をもっているクラスの奴で、もう一人は冨田先生のクラスの生徒だった。






その為、他の教員が帰るなか二人で書類を作成し、こんな時間まで残るはめになったのだ。







確か…冨田先生って結婚してたよな…。