私と陽斗が出会ったのは、小学三年生の三学期。
「はい。今日は皆にうれしいお知らせがあります。」
今年先生になったばかりの担任の、嬉しそうな顔。
分かりきってる。
この台詞からして、転校生だろう。
「このクラスに、転校生が来ます!!」
やっぱりね。
でも、分かりきってても、嬉しいものは嬉しい。
「せんせー、女子ですかぁー?」
「いいえ、男子ですよ。」
「ちぇーっ・・・男子かよ・・・」
男子か・・・イケメンならいいのにな・・・
「何?期待してるわけ?」
「う、うわっ。びっくりしたぁ・・・」
そう話しかけてきたのは、席も家も隣の悟。
頭がよくて、特に理科が得意なの!
私は理科ニガテだけど・・・
「なんか楽しそうな顔してるぞ?」
「べ、別に期待なんか・・・」

ガラッ・・・

「・・・」
私達の教室に入ってきたのは・・・

ごくごく普通の男子。
「なぁ~んだ・・・」
周りの女子ががっかりしている声が丸聞こえだ。
そんなこと言ったらかわいそうだよ・・・

「じゃあ、自己紹介、できる?」
「はい。」
でも、言われてみれば確かに・・・普通だね・・・
「森山陽斗です。〇△小学校から来ました。よろしくお願いします。」
「みんなー。陽斗君と仲良くしてあげてねーっ。」
「「はーい」」
「まぁ、いいやつそうで良かったな。」
「そうだね。」

どんな子なんだろう?
何かワクワクしてきた♪