──そうして、もうすぐ午前二時になろうとしたとき、私は全身が硬直して目を開いた。
「なにこれ」
もしかして金縛り?
うそ、金縛りなのこれ?
指の一本も動かせない。
声も出ない。
どうしよう!?
私はそこで気がついた。
足元に何かいる。物とかそういうのじゃない、何かの息づかいが感じられる。
「ひっ!?」
それは紛れもなく夢に見た手だ。
ごつごつした男の手、少し肉付きが良くて右手の薬指には夢で見た手と同じ黒いアザがある。
夢ではふくらはぎまでだったけど、その手はじっくりと私の足をなで回し膝に上がってくる。
その手つきがなんともイヤらしくてさらに怖さが増した。



