あれはなんだったんだろう。

 私はベッドに寝ころびながら考えた。

 寝ている私のつま先からゆっくり、ゆっくりと男の人の手が──

「いやっ!?」

 思い出すと鳥肌が立つ。

 きっと昨日、みんなで近くの廃屋に行って肝試しをしたせいだ。

 近くに何年も前から誰も住んでいなくて放置されてるアパートがあって、勉強会に集まったクラスメイト数人が肝試ししようと言い出した。

 私はお化けなんか怖くないけど、夜中にうちを抜け出したり、こんな真っ暗な所に何があるか解らないから少しだけ嫌がった。

「どうせ怖いんだろ」

 そんな男子の言葉にカッときたのがいけなかった。