【じわりじわり】



「理恵~、ごはんよ~」

「はあっ!?」

 なに!? 今の……怖かった。

 夏休みは色々と疲れるもので、私はつい昼寝をしてしまっていた。

 高校最後の夏休みだというのに、エアコンのきいた涼しい部屋でおでこに汗びっしょりなんておかしいじゃない。

 どうやら夕飯の時間らしい。

 お母さんの声で起きたけど、どうにも寝覚めの悪い夢だった。

 思い出した途端、背筋がぶるっとして私は慌てて下に降りた。

「大丈夫?」

「あー、うん」

 お母さんの心配する言葉に生返事を返した。

 それくらい精神的に疲れていた。

 夕飯を食べ終わり、テレビを見ずに階段を上る私にお母さんは少し変な顔をした。

 でもテレビを見る気にもなれなかったんだ。