「これ」

 目の前に差し出された小さな箱を僕は無言で受け取った。

 ブレゼントボックスにかけられた青いリボンを外して箱を開ける。

 そこには水晶のペーパーウェイトが入っていた。

「前に欲しいって言ってたから」

 彼女とデートをしていた時に見つけたものだ。

 僕はなぜだか水晶が好きで、少しずつ集めている。

 昔には玻璃(はり)と呼ばれていて、低温型石英は圧電体で時計の部品によく使われている。

 刻(とき)を刻む石──僕はそれに魅せられているんだろう。