なのに、彼はちゃんと気付いてくれた。 「泣いて何か…」 「俺さ、陰でこそこそと人の失敗笑ってる奴らよりこんな風に人の事で一生懸命になる人カッコいいと思うけど」 誰に向かって言っているかなんて聞かなくても分かった。 独り言のように思えるけどそれは、私を笑っていた人たちに対して言った言葉だった。 その言葉によって、周りからの笑い声は一瞬にして無くなっていた。 「荒城君……」 「ほら、そんなにもたもたしていると昼休みが終わるから」