冬の張り詰めた冷気が、胸の中心を鋭く貫通する。
僕はかじかんだ手のひらに、そっと息を吹きかけた。
家を出て、今日で二日目になる。
山の向こうの雲がかった丸い朝日は、不気味なまでに白く輝きながら、辺りの景色をぼんやりと照らし出していた。
──なんで、こんなことになったんだろう。
己に問いかけてはみるものの、当然の如く返答はない。
空っぽの胃が、それはそれは哀しそうに鳴るだけである。
昨日から何も食べていないんだから、当たり前だよな。
エネルギー源を失った僕に、残存する力などもはやなくて、今はただ、人気の皆無な公園の汚い古びたベンチに、情けなくも膝を抱えてうずくまっている。
脳内に侵入する睡魔を何とか押さえつけながら、僕は重い頭をもたげ、薄暗い灰色の空を見上げた。
それからゆっくりと瞼を閉じて、生々しく焼き付いている記憶の欠片を、何もない心の中に蘇らせる。