普段見せない涙が彩華の目から ぽろぽろと流れ落ちていた。 いままで見た中で 一番悲しそうな顔だった。 死ぬと言った彼女の言葉と そのときの顔が忘れられない。 「くそ・・・っ」 亮也は無意識にそう呟いていた。 やがて電車が目的の駅に着くと亮也は そこから病院に向かって走り出した。 タクシーをひろうなどという考えは 頭になかった。 タクシーで行ったほうが早いのに そんなことを考える余裕すら このときの亮也にはなかったのだ。